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建設業で特定技能外国人を雇用するための7ステップ

建設業で特定技能外国人を雇用するための7ステップ

建設業で特定技能外国人を雇用するには、一般的な特定技能の要件に加え、建設業許可、建設キャリアアップシステム(CCUS)、建設技能人材機構(JAC)への加入、国土交通大臣による「建設特定技能受入計画」の認定など、建設分野固有の手続が必要です。特に重要なのは、建設現場で直接建設業務に従事する人材については、有料職業紹介が原則として禁止されている点です。

したがって、建設企業は「人材紹介会社に成功報酬を支払い、候補者を紹介してもらう」という一般的な採用方法を、そのまま建設分野の特定技能に用いることはできません。採用経路の適法性を最初に確認し、受入計画の認定と在留資格手続を逆算して進めることが、円滑な採用の出発点になります。

結論:建設分野の特定技能1号は、候補者の適格性、企業の受入要件、適法な採用経路、国土交通省の受入計画認定、出入国在留管理庁の在留資格手続、受入れ後の報告・支援を、一つの流れとして管理する制度です。候補者紹介の対価を伴うあっせんは原則として使わず、直接採用又は無料職業紹介を前提に設計してください。

まず押さえるべきこと:建設業務への有料職業紹介は原則禁止

厚生労働省は、建設業務を「土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊若しくは解体の作業又はこれらの作業の準備の作業に係る業務」と説明しています。この建設現場で直接作業に従事する者については、職業安定法により有料職業紹介が原則禁止です。

このため、特定技能「建設」で現場作業に従事する外国人を、通常の有料職業紹介事業者が紹介手数料・成功報酬を受けて企業へあっせんすることは、原則としてできません。有料職業紹介の許可を持っていることだけでは、この禁止を解除できません。国土交通省も、建設分野の特定技能ではJACが無料職業紹介を行う仕組みを案内しています。

ただし、「建設業の会社に勤務する者」がすべて一律に禁止対象となるわけではありません。判断の基準は会社の業種名ではなく、紹介する職務が建設業務に当たるかです。厚生労働省は、施工管理、営業、経理事務などを建設業務労働者には当たらない例として示しています。 一方で、特定技能「建設」で予定される土木・建築・ライフライン・設備の現場作業は、通常、この建設業務に該当します。

また、例外として、厚生労働大臣の認定・許可を受けた一定の建設事業主団体は、「建設業務有料職業紹介事業」を行えます。ただし、対象は団体の構成員に関係する求人・求職であり、無期雇用契約に限られるなど、一般の有料職業紹介事業とは別の厳格な制度です。 一般の人材紹介会社や登録支援機関が、この例外を当然に利用できるわけではありません。

区分取扱いの考え方
特定技能「建設」で現場の建設業務に就く人材有料職業紹介は原則禁止。直接採用又は無料職業紹介を前提に検討する。
施工管理・営業・経理など、現場で直接建設業務に従事しない職務職務内容により個別判断する。特定技能「建設」の対象業務とは別に、在留資格との適合性を確認する。
建設事業主団体による例外的な有料職業紹介厚生労働大臣の認定・許可を得た団体に限られる。対象・雇用期間にも条件がある。
登録支援機関への支援業務の委託生活支援等の委託と候補者の職業紹介は別の業務である。支援委託の名目で有料の候補者あっせんを行わない。

採用支援、海外での募集協力、登録支援、書類作成支援などを外部委託する場合も、契約名称ではなく実態で判断されます。候補者と求人企業の雇用関係の成立を、対価を得てあっせんする実態が含まれないかを事前に精査し、不明な場合は管轄労働局又は専門家へ確認してください。

建設分野の特定技能1号:受入れまでの全体像

建設分野では、初めて受け入れるケースの多くが特定技能1号です。特定技能1号は通算で原則5年まで在留できる制度であり、受入企業には支援計画の実施が求められます。 建設分野の業務区分は、土木、建築、ライフライン・設備の三つです。企業は、採用する人材の試験・技能実習歴と、実際に従事させる業務区分との対応を確認しなければなりません。

以下の順番で準備すると、採用経路の誤りや申請の手戻りを減らせます。

ステップ実施すること主な確認事項
1採用職種・候補者要件を確定する業務区分、候補者の技能試験・日本語試験又は技能実習修了歴、直接雇用の設計を確認する。
2企業の受入基盤を整える建設業許可、JAC加入、CCUS登録、国内人材確保の取組、受入人数上限を確認する。
3適法な方法で候補者を確保する直接採用、JACなどの無料職業紹介、既存雇用者からの移行を検討する。有料職業紹介を用いない。
4雇用条件を説明し、契約を締結する日本人と同等以上の報酬、昇給、安全衛生、理解できる言語での事前説明を整える。
5建設特定技能受入計画の認定を申請する国土交通省の外国人就労管理システムで、必要書類を添付してオンライン申請する。
6支援計画と在留資格手続を進める1号特定技能外国人支援計画を作成し、在留資格認定証明書交付又は在留資格変更を申請する。
7就労開始後の報告・支援を実行する受入報告、CCUS、FITS受入れ後講習、安全衛生教育、支援・届出を継続する。

ステップ1:業務内容と候補者の要件を確認する

最初に、「どの工事で、どの作業を担ってもらうのか」を具体化します。特定技能1号では、土木、建築、ライフライン・設備のいずれかの業務区分に沿って、指導者の指示・監督を受けながら作業に従事します。 受入計画では、実際の業務が建設業の工事に当たること、候補者の業務区分と試験又は修了した技能実習との対応が適切であることが確認されます。

候補者は、原則として建設分野の特定技能評価試験と、日本語の要件を満たす必要があります。日本語要件は、国際交流基金日本語基礎テスト又は日本語能力試験(JLPT)N4以上が基本です。関連する技能実習2号を良好に修了した人材は、一定の場合に試験が免除されます。 試験区分と技能実習職種の対応は改定され得るため、契約前に国土交通省の対応表で必ず確認してください。

ステップ2:企業側の受入要件を整える

建設分野では、受入企業に対して国土交通省独自の認定条件があります。申請書類を集め始める前に、次の要件を満たしているかを点検してください。

確認項目実務上の要点
建設業許可建設業法第3条第1項の許可が必要である。少額工事のみを行う場合でも、特定技能受入れのためには許可が必要となる。
JACへの加入受入企業は、JACの賛助会員になるか、JACの正会員である建設業者団体の会員になる必要がある。申請中では足りず、会員証明書が必要である。
CCUS登録企業の事業者登録を完了させる。国内在住の候補者は、原則として本人の技能者登録も申請前に完了させる。海外在住者は入国後速やかな登録が必要となる。
国内人材確保の取組申請日から直近1年以内のハローワーク求人票が必要である。特定技能外国人と同じ作業員について、フルタイムの正社員求人を出す。
人数上限受入れる1号特定技能外国人の総数は、技能実習生・1号特定技能外国人等を除く常勤職員数を超えられない。
処遇・労務管理同等の技能を持つ日本人と同等額以上の報酬を安定して支払い、技能習熟に応じた昇給を行う。就業規則、賃金規程、36協定なども確認対象となる。

国土交通省の新規申請手引きでは、建設業許可、CCUSの事業者登録、JAC加入が申請前に完了していることを明示しています。また、過去5年間に建設業法に基づく監督処分を受けていないことも認定条件です。

特に注意したいのは、ハローワーク求人の給与と、特定技能外国人に提示する給与の整合性です。国内人材確保の取組は形式だけではなく、提示した処遇の妥当性も審査対象になります。求人票より低い条件で外国人を雇う設計は避け、比較対象となる日本人技能者の賃金台帳・経験年数・賃金規程を早い段階で整理してください。

ステップ3:有料職業紹介に頼らない採用経路を選ぶ

候補者を確保する際は、次のような経路を検討します。

採用経路留意点
自社による直接採用海外又は国内の候補者と企業が直接雇用契約を結ぶ。候補者要件、送出国側の手続、説明言語を確認する。
JACの無料職業紹介建設分野の特定技能希望者と受入企業の求人・求職マッチングとして利用できる。国土交通省はJACによる無料職業紹介を案内している。
技能実習等からの移行現に雇用している技能実習生等が、要件を満たして特定技能1号へ移行する方法である。移行時にも国内人材確保の取組や受入計画認定が必要となる。

建設企業が自社で候補者を見つけること自体は可能です。しかし、第三者が候補者と企業の間に入り、紹介料・成功報酬を受けて雇用成立をあっせんする形には注意が必要です。国土交通省は、建設業では有料職業紹介が禁止されていることを前提に、JACによる無料職業紹介を案内しています。

ステップ4:理解できる言語で労働条件を説明し、適正な契約を結ぶ

雇用契約の前に、契約の重要事項を候補者が十分に理解できる言語で、書面を交付して説明します。 国土交通省は、雇用契約に係る重要事項事前説明書について、ミャンマー語を含む複数言語の参考様式を公開しています。

契約では、業務内容、就業場所、労働時間、賃金、手当、控除、休日、安全衛生、昇給などを明確にします。建設分野では、同等の技能を持つ日本人と同等以上の待遇を安定的に支払うことに加え、技能の習熟に応じて昇給する契約が求められます。 特定技能外国人だけに不利な変形労働時間制、賃金体系、退職金制度を適用することは、適正な処遇の観点から問題になります。

ステップ5:建設特定技能受入計画の認定を申請する

雇用契約を整えた後、受入企業は「建設特定技能受入計画」を作成し、主たる営業所を管轄する地方整備局等にオンラインで認定申請します。申請は国土交通省の外国人就労管理システムで行います。

主な添付書類には、建設業許可証、常勤職員数を示す社会保険関係書類、CCUS事業者ID、JAC会員証明書、ハローワーク求人票、就業規則・賃金規程、同等の技能を持つ日本人の賃金台帳・経験年数資料、特定技能雇用契約書、雇用条件書、重要事項事前説明書などがあります。

認定申請は、技能実習から継続して移行する場合は技能実習計画の修了期日の6か月前から、それ以外の場合は雇用開始予定日の概ね6か月前から可能です。国土交通省は、補正期間を除く認定までの目安を1か月半から2か月程度とし、地域によってはさらに時間を要する場合があると案内しています。

ステップ6:支援計画を作成し、在留資格を申請する

特定技能1号では、受入企業は「1号特定技能外国人支援計画」を作成し、支援を適切に実施する必要があります。自社で実施する方法のほか、登録支援機関に支援業務の全部を委託する方法があります。支援を委託することと、建設業務の候補者を有料で紹介することは別問題です。支援委託契約に候補者紹介の対価を混在させないことが重要です。

海外から呼び寄せる場合は、原則として在留資格認定証明書交付申請を行います。日本に在留する候補者を特定技能へ移行させる場合は、在留資格変更許可申請を行います。いずれも出入国在留管理庁へ申請し、建設分野の提出書類を添付します。

国土交通省への受入計画認定申請と、出入国在留管理庁への在留資格申請は並行して進められます。ただし、建設特定技能受入計画の認定証は入管申請の添付書類であるため、国土交通省の認定が出なければ在留資格の許可は得られません。

ステップ7:就労開始後の報告・支援まで実施する

在留資格の許可と入国又は変更後に就労を開始したら、制度運用は終わりではありません。受入企業は、速やかに「1号特定技能外国人受入報告書」を国土交通省へオンライン提出します。JACの案内では、受入れ後1か月以内の提出とされています。

また、建設分野では、適正就労監理機関である国際建設技能振興機構(FITS)が実施する受入れ後講習を受講させる必要があります。JACは、概ね6か月以内の受講を案内しています。 安全衛生教育、CCUSの運用、支援計画に基づく生活・相談支援、定期面談、入管への定期・随時届出、国土交通省への変更申請・変更届出も継続して管理してください。

就労開始後の主な対応実務上のポイント
受入報告国土交通省の外国人就労管理システムで提出する。海外からの新規入国者は、CCUS技能者IDに関する追加対応も確認する。
受入れ後講習FITSが実施する講習を受講させる。
安全衛生教育労働安全衛生法に基づく特別教育等を含め、担当業務に必要な教育を行う。
支援計画の実施1号特定技能外国人への支援を、自社又は登録支援機関が計画どおり実施する。
変更・届出雇用条件、受入計画、支援計画、所属状況などに変更があれば、必要な届出・申請を期限内に行う。

いつから始めるべきか:6か月前を起点に逆算する

建設分野は、JAC加入、CCUS登録、ハローワーク求人、受入計画認定、在留資格審査が連続するため、採用予定日の直前に着手すると間に合わないおそれがあります。国土交通省は、受入計画の認定申請を雇用開始日の概ね6か月前から受け付け、入管申請は就労開始希望日の2~3か月前を目安として案内しています。

時期の目安実施内容
雇用開始の6か月前職種・候補者要件の確定、JAC加入、CCUS登録、ハローワーク求人、候補者の適格性確認を始める。
雇用開始の4~6か月前多言語での事前説明、雇用契約、受入計画のオンライン申請を行う。
雇用開始の2~3か月前支援計画を確定し、在留資格認定証明書交付又は在留資格変更を申請する。
就労開始直後受入報告、CCUS関係の確認、安全衛生教育、生活支援を実施する。
就労開始後FITS受入れ後講習、定期面談、届出、昇給・キャリア形成の運用を継続する。

受入企業の最終チェックリスト

現場で行わせる業務が、土木・建築・ライフライン・設備のいずれに当たるか整理した。

候補者の試験、技能実習修了歴、日本語要件と業務区分の対応を確認した。

有料職業紹介によらない、適法な候補者確保の経路を選んだ。

建設業許可、JAC加入、CCUS事業者登録を完了した。

直近1年以内のハローワーク求人票を用意した。

1号特定技能外国人の受入人数が常勤職員数の上限内であることを確認した。

日本人技能者との比較資料を用意し、同等以上の報酬と昇給を契約に反映した。

候補者が理解できる言語で重要事項を説明した。

建設特定技能受入計画の認定と在留資格手続を、就労開始日から逆算して進めている。

受入れ後の報告、FITS講習、支援、届出の担当者と期限を決めた。

まとめ

建設分野の特定技能採用は、単に在留資格を申請する手続ではありません。国内人材確保の取組、適正な賃金、安全衛生、CCUS、JAC、国土交通省による受入計画認定、入管への申請、受入れ後の支援と報告を通じて、適正な雇用環境を確保する仕組みです。

なかでも、現場の建設業務に就く人材は有料職業紹介の対象ではなく、原則として有料でのあっせんができないことを、採用計画の最初に共有してください。直接採用又は無料職業紹介を適法に活用し、受入れ後まで責任を持って運用することが、建設企業と外国人材の双方にとって持続可能な採用につながります。

References

[1] 建設業務有料職業紹介事業について|厚生労働省

[2] 国内における建設分野特定技能への求人求職マッチングを本格開始|国土交通省

[3] 建設分野|出入国在留管理庁

[4] 在留資格「特定技能」|出入国在留管理庁

[5] 建設特定技能受入計画のオンライン申請について【新規】|国土交通省

[6] 概要、関係資料【特定技能制度(建設分野 )】|国土交通省

[7] 申請の手引き、様式、システム操作方法【特定技能制度(建設分野 )】|国土交通省

[8] 特定技能関係の申請・届出様式一覧|出入国在留管理庁

[9] 特定技能外国人制度の概要|一般社団法人建設技能人材機構